FUJIARCHIVES BLOG

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Gear

ボディ:Sony α7 III ILCE-7M3

レンズ:Carl Zeiss Sonnar 50mmf1.5 (Contax RF)

レンズアダプター1:RF-L39 Mount

レンズアダプター2:K&F Concept Leica M39-NEX (ライカL39マウントレンズ- ソニーEマウント変換) PROⅡ

旧コンタックスのCarl Zeiss Sonnar 50mm f1.5の購入経緯

今まで富士フィルムのボディでCosinaが製造しているレンジファインダー用のZeiss Biogon T* 28mm f2.8 ZMを使っていたが、やはりフルサイズを使いたいと思い、帰国の折にマップカメラでSony α7ⅲに総取っ替えした。Zeissの沼へとハマっていく中、ふらっと立ち寄ったオールドレンズやフィルムカメラを扱う秋葉原2ndBASEというお店で見つけたのがこの旧コンタックスCarl Zeiss Sonnar 50mm f1.5。ピントリングのついたマウントアダプターとセットで売られていたので割りと良心的な値段を考慮し、試写させていただいて、状態をよく確認した上で購入を決意した。

ツァイスレンズの歴史とSonnar 50mm f1.5の分析

カールツァイスのゾナーはドイツのレンズ設計者ルードヴィッヒ・ベルテレによって1931年に生ました。Sonnarは当時非常にバランスの取れた構造設計で、初代コンタックス用の50mmF1.5とF2でほぼ完成していたと言われているようです。レンズ構成は3群7枚のゾナー型で貼り合わせの多い構成が特徴的。前群の球面収差と逆向きの球面収差を意図的に後群で発生させて互いに収差を相殺させあう糸があった模様。

購入したこの旧コンタック用のSonnarに刻印されているシリアルナンバー1606208を元に調べてみると、1953年から1959年の間に西ドイツのカールツァイスのOberkochen社で作られたContax Rangefinder用のレンズの模様。Optonの刻印がないので困惑しましたが1954年から西側ツァイスがCarl Zeissを名乗ったことで、戦後西ドイツ製で間違いなかろうと思います。

*Carl Zeissレンズのシリアルナンバー参照

製造年数を見分ける特徴としてシリアルナンバー、クロームのレンズ外観、黒のフロントリング、f16絞り、おそらくシングルレンズコーティングあり(ありだとリングにT*の刻印があるが、戦後製造を元に判断)、絞りの▲のサイズと色などをOldlens.comのサイトを参考に判断させていただいた。

*Sonnar 5cm f1.5 variations参照

店員さんに心優しく説明してもらったところによると、もともと旧コンタックスマウントはピントリングがボディ側にある変わった機構を持つため、フォーカスリング付きのアダプターが必要となってくる。フォーカスリングのついたマウントアダプターの種類は少なく高価になる模様。

作例と性能描写

  • 全写真RAWデータで撮影
  • オートホワイトバランス設定
  • 露出は-1から+2/3程度
  • 電子接点からEXIFデータを入力できないため絞りの数値がわからないところはご容赦

先ずは秋葉原2ndBASEで試写した三枚から。

見てすぐわかるようにコントラスト高めな描写。不自然さのないスムーズなボケ感となめらかなフォーカスの外れ方。

ピントが掠めるような角度でもあたった場所からボケのグラデーションが見て取れる。

撮る角度によっては真ん中にピントがこないこともままある。開放近くでとると被写界深度が浅いためピント合わせがかなりシビア。

静岡、日本平ホテルにて。

室内からガラス越しに撮影した富士山。このときはおそらくf8くらいに絞って、無限遠で撮影した。割りとのっぺりとしたかすみがかった画作りになった。

左隅の窓の日光があたっている木を見ると色収差がでていることに気づくが年代物なのでご愛嬌。コントラストが高いことで壁が黒つぶれしているところがあるものの、落ち着きのある空気感を演出している。

開放で撮ったゆえのピントズレ。ニットの柄にしっかり合ってしまっていることがおわかりだろう。意図的に狙えれば味のある絵が写せるだろう。

夕暮れ時の1枚。f8かf11に絞って撮影。葉が落ちた木の枝の周り赤く滲んで色収差がでているとわかる。

名古屋、大須商店街にてストリートスナップ。

左手前側の人物にしっかりピントがあたっている。フォーカスが外れていくに連れ、なめらかにボケていくところが非常にいい。はずしたときの収差は納得のまま。ラインがわかりやすいアーケードだが歪曲収差はあまり見えず。

絞りの感覚をつかめれば被写界深度のピーキーさにもなれていくことが証明できた1枚かと。

葉っぱや木の荒い収差が見事に見て取れる。これの収差を乗りこなしてこそと感じられる挑戦だ。

こんな乙な味を噛み締めたいのだ。開放から少し絞ることで暗部を潰れさず、空の青さものこしつつ、ハイライト飛びをさせない配慮が行き届いた故の画かと。

光のあまり当たらない場所では露出を1/3-2/3ほどあげて、被写界深度をあまり浅くさせたくないのでf4かf5.6あたりに絞った。フジのクラシッククロームを思い出せせるようなコントラスト。

歩く人々になるべくピントをあわせて浮かび上がらせた1枚。雲間の光はハイライト飛びしてゴーストが出せる予兆を感じた。左端の店の白い文字をみると、滲んで色収差が現れている証拠が見れる。

名古屋、栄の夜。

オールドレンズながら夜の撮影も可能だが、ハイライト部分のコントロールが難しい。

看板の明かりで色収差によるにじみがよくわかる。

北海道、白鬚の滝を見に行ったときの写真。

北海道、美瑛町の街並み。

直射逆光なのでハレーションを起こしている。

雪への反射が強すぎるせいなのも相まって、ハイライトの上にモヤがかかったようなじんわりとしたおいしいハレーションが起きている。

主張しすぎない前ボケ、やはりドーカスのあたっている背後の木の実は収差が見て取れる。

日中14:00くらいに撮った1枚。北海道は陽が傾くのが早く、大雪に反射する眩しい陽光と斜めからの直射逆行がいい具合にゴーストを引き起こした。ポートレートにも活かせる描写性能がわかる。

旭川への帰り道、写真スポットのマイルドセブンの木など。

三枚連続でみるとやはりポートレートに向いたレンズだなと思わせる描写と空気感。

*下から三枚はホワイトバランスを青に傾けて撮影。

Sony α7 III ILCE-7M3


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カナダでインテリアデザインを勉強中の学生。グラフィックデザイン、3DCG、Photo Zineなど制作。

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